米国に続き欧州でも量的緩和終了の動きが急である。それに対し日銀は物価が停滞しているために緩和継続の先見通せずと報道されている(日経新聞2018年6月16日)。日本だけが、金融緩和からの出口が見えない状況にある理由は何か。それは現在の政府の政策が労働者サイドではなく、企業や経営者(=お金持ち)優遇の政策となっていること、それにより、金融緩和による多額のマネーが市中を循環せずに彼らの預金口座の残高増加となっているためである。この点については多くの根拠があり疑問の余地はない。そのメカニズムについては拙著論文(http://rdcu.be/pYko)をご参照いただければ幸いである。企業が投資に積極的であれば銀行に向かう資金の額は小さくなり市中循環貨幣の量が増加するがまだまだ不十分である。物価上昇をもたらすために必要不可欠な事柄は、労働者の可処分所得上昇である。政府のお金の使い方が、現在のように企業や既得権者等優遇の政策にいる限り日本は永久に金融緩和から抜け出すことはできないであろう。政府の支出政策を、一般労働者優遇の政策に変更すること、即ち公共料金や公共交通、社会福祉費、育児経費、教育費など庶民が生活していくために必要な諸経費を低下させる政策を行うこと、企業の賃金抑制を支援するような政策は行わないこと、等への政策変更が必要である。其の他所得税の累進課税の最高税率の引き上げも有効である。一方、消費税率の10%への引き上げは明らかにマイナスである。そろそろ政府、日銀も現在の金融緩和政策が何故効果を発揮しないのか、その理由が緩和マネーの銀行預金への流入にあることに気づいてほしいものである。緩和マネーが一般労働者に向かえば、それらの多くは消費に向かい物価は上昇する。

この意見には多くの根拠があります。関心のある方、反論のある方は
ogibayashi【アット】ogi-lab.net(「【アット】」を「@」に置き換えて下さい)
までご連絡ください。