感染のメカニズム

  1. 感染とは自身の体内にウイルスが混入すること、と定義する。
  2. 感染者の体内のウイルスの一部は呼気によって体外に排出される。
  3. その結果、感染者がいる場所が密閉空間の場合、空間内にウイルスが浮遊し、その数は時間経過とともに増加する。一方、空間内が換気されていれば、浮遊ウイルス数は大幅に減少する。また感染者がマスクをしていれば排出ウイルス数は低下する。
    注1)感染経路として接触感染、スプラッシュ感染、空気感染(エアロゾル感染)、がある。スプラッシュとエアロゾルの違いはそのサイズであってサイズが5μm以上の飛沫はエアロゾルと呼ばれる。エアロゾルは室内に長期間浮遊し感染源となる。エアロゾルは密閉空間内で感染源となるので、風通しのよい屋外への移動や、室内換気は感染の確率を低下させる。
  4. 感染者と同じ空間に健康者が滞在すると、健康者が息を吸うたびに、浮遊しているウイルスの一部を体内に取り込む(感染する)。体内に取り込まれるウイルスの数は滞在時間が長いほど多くなる(ミクロレベルで感染が繰り返される)
    健康者がマスクをしていれば、感染によって体内に取り込まれるウイルス数は減少する。
  5. 上記より、感染する確率は健常者が感染者と接触する確率に依存する。感染者との接触において、飛沫感染の場合には距離が近接していることが問題となるが、空気感染の場合は同じ室内にいるかどうかが問題となる。すなわち近接していなくても感染する。厚労省のクラスタ認識は飛沫感染を前提としているが、空気感染の場合、感染者と同じ空間に滞在している健康者が複数の場合、同様の感染を複数人が受けることになり、クラスタの発生となる。

回復のメカニズム

  1. 体内に混入したウイルスは自然免疫によってその一部が体外に排出される。
  2. 呼気と免疫の作用で体外に排出されたのちに残存するウイルスは毎期一定の割合で増殖する。(毎期とは、毎分、毎時間、毎日、など)
    但し、感染を繰り返さない限り、また感染によって体内に混入したウイルスの数が著しく多くない限り、多くの場合ウイルスの増殖速度より免疫によるウイルス排除の速度の方が大きい。
  3. 毎期感染を繰り返せば、ウイルス数は、増殖に加えて新規感染により一時的にその数が増加する。
  4. 体内のウイルス数が増加すると、免疫力を高めるために、体温が上昇する。
    一般に1℃の体温上昇で免疫力は5倍に増加する。免疫力の増加は単位時間当たり排出されるウイルス数が増加することを意味する。
  5. 体温上昇による強化免疫が作用してもなおウイルス数の増加が続く場合には、体内に抗体が生成する。抗体が生成すると単位時間当たり排出されるウイルス数はさらに増加する。
  6. 以上より、新規感染を繰り返さない限りは、免疫効果によって体内のウイルス数は減少し、上昇した体温も低下する。体温が平熱に戻れば、体内のウイルス数はほぼゼロになっているものとみなせる。

パンデミック収束の必要条件

新規回復者数が新規感染者数を上回る状態が実現すること。
これは次の関係式から自明。

感染者数(t+1)=感染者数(t)+新規感染者(t)-新規回復者数(t)-(新規死亡者数(t))

この条件が実現されるための必要条件は下記の2点である。

  1. 感染者の体内のウイルスの体外へ排出速度が、ウイルスの数が多くなるほど増加すること。人体の場合、体温上昇による免疫力向上及びそれでも足りない場合には抗体生成、によってこのメカニズムが具現化されている(注2を参照のこと)
  2. システム外から新たな感染者が混入しないこと。
    ここで、システム外とは、国内システムの場合は海外、県単位のシステムの場合  は県外を指す。

注2)人体の免疫力は、体内に存在するウイルス数が増加するほど免疫力が高まるように、仕組みができている。この仕組みを具現化している因子は、体温上昇による免疫力向上と抗体発生による免疫力向上である。
(ちなみに、この仕組みが存在しなければパンデミックは収束しない。その理由は、体外に排出されるウイルス数(すなわち免疫力)がウイルス数に無関係に一定と仮定すれば、免疫力の低い個人の体内では際限なくウイルスが増殖する。その結果その人から感染すると初期ウイルス数が非常に大きくなり増殖に対して回復が追い付かなくなる。かくして、新規回復者が新規感染者を上回ることはなく、結果としてシステム内の是認が感染するまで感染拡大が続くことになり、パンデミックは収束しない)

行動制限以外に有効な、パンデミック収束の対策(上記メカニズムに基づく)

2.1 個人レベルでの対策(下記の3)の体温モニタリング行動自主管理が最も重要)

1)マスクの着用

マスクの着用は既感染者にとっては体外に排出するウイルス数を減らすことにより感染力を低下させる、また健康者にとっては感染したとしてもその際に体内に取り込まれるウイルス数を低下させるため、回復がより容易となる。

2)部屋または密集空間の換気

換気は浮遊ウイルスを吹き飛ばし個数を低下させるので有効
例え感染しても、体内に混入するウイルスの個数が少なければ回復が容易なる。

3)体温モニタリング行動自主管理(個人レベルでの感染状態のモニタリングと自主的行動制限)

以上の回復メカニズムより、体温は体内に存在するウイルス数の良い尺度になりうる。すなわち、体温が平熱より高ければ感染している可能性があり、平熱であれば感染していないと判断してよい。
具体的な処方箋は以下の通り。
自分の平熱を把握しておく。

  • 体温は脇の下で市販の体温計で測定する。
    自分の場合、平熱は36.3℃
  • 外出するとき、また外出先から帰宅した時には、体温を測ること。
  • 外出先で感染の恐れがあるときには、30分程度間隔を目安にできるだけ頻繁に検温する。もし平熱より0.5℃程度以上高いようであれば、今いる場所から退避し、風通しのよい屋外へ移動する。

4)外出先から帰宅後、自宅にいて体温がなお上昇する傾向にある場合には、(自分自身を含めて)自宅内に感染者が存在する可能性が大。その場合、感染者が呼吸を通して吐き出したウイルスを吸い込んでいる可能性があるので、部屋の換気をする。十分に換気をすれば、体温は下がってくるはずである。
平熱に戻っていれば、自由に行動してよい。

2.2 政府レベルでの対策

現状政府が行っている緊急事態宣言は、大部分を占める健康者の行動の自粛を求めるため経済への悪影響が大きい。行動自粛すべきは少数派である感染者のみである。感染者を識別して、感染者のみ行動を自粛させることが、経済と両立しうる最善の対策である。具体的には下記。

1)空港など国境での感染者識別と隔離

感染者識別は全員を体温チェックすることにより行う。体温が37.5℃(或いは37℃)以上の人のみPCR検査をした上で結果が陽性であれば1~2週間隔離する。隔離中に体温が37℃未満に戻れば再度PCR検査を行い、陰性であれば隔離を終了する。隔離対象者は隔離期間中外出を禁止し、行動を監視し、違反した場合には罰金を課すなどの罰則を与える。
識別と隔離を徹底して行うことが重要。

2)個人レベルでの対策の呼びかけ、特に2.1の3)を国民全員が守るように呼び掛ける。

(健康者が大部分を占める中で、国民全員に行動自粛を求めることは、経済へのダメージを大きくする一方で、感染者であっても行動が公的に見張られているわけではないので行動自粛不十分な感染者が少なからず存在すると考えられ、感染者ののみ徹底した行動自粛を求めるケースに比べて、パンデミック収束の実行性は小さくなる可能性がある。)

これらの対策によりパンデミック収束にとってワクチン接種は必要条件ではない。
またPCR検査も必要条件ではない。

注3)PCR検査で陽性になるケースは相当数のウイルスが存在している場合に限られる。感染者識別にはPCR検査よりも体温チェックの方がはるかに簡便である。体温はウイルス以外の要因で上がるケースもあるが、少なくとも体温上昇を感染の疑いのサインとみる方法はパンデミック収束にとって安全サイドである。